『子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド』森山沙耶|本の紹介

はじめに

『子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド』は、お子さんのスマホやゲームの使いすぎが気になる保護者さんに向けて、依存の予防・対処法を教えてくれる本です。著者の森山沙耶さんは公認心理師・臨床心理士・社会福祉士であり、ネット・ゲーム依存の専門機関「MIRA-i」の所長を務めてらっしゃいます。
私が本書を手に取ったのは、日頃から不登校のお子さんと接する中で、不登校とネット・ゲーム依存のつながりを強く感じていたからです。2023年に出版ということで内容は新しく、イラストや図解も多いためとても読みやすいです。具体的な対処法まで紹介されているので、実際の子育てにもすぐに活かせる一冊になっています。

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内容ざっくりまとめ

まず第1章では、依存症の定義が説明されます。
森山さんによれば、「生活や健康に支障が出ても、自分でネットやゲームの使用をコントロールできない状態」がネット・ゲーム依存とみなされます。つまり、単に長時間遊んでいるからといって依存とは限りません。また、依存は性格や意志の弱さのせいではなく、誰にでも起こり得る病気であることが強調されています。依存に至る脳の仕組みについても、やさしく説明されています。

第2章では、依存の予防策が紹介されます。
例えば、記録表や円グラフで子どものネット・ゲームの使用状況を見える化すること、そして使用時間をほどほどにするために家庭内でルールを作ることなどが挙げられています。

ルールを作る際のポイントは以下の3つだそうです。
・シンプルで厳しすぎないルールにする。
・子どもの考えを聞いたうえで親の意見を穏やかに伝え、親子で一緒に決める。
・紙に書いて見えるところに貼る。
さらに、ルールを守れなかったときの対応方法や、ネット以外の活動の増やし方、発達障害の特性に配慮した工夫も紹介されています。

第3〜5章では、依存になってしまった場合のさまざまな対処法が紹介されています。
特に注目したいのは、4章で紹介される「ハームリダクション」という考え方です。これは「やめさせること」にこだわらず、健康や生活上の問題そのものを減らすことを目指す方法です。ネットやゲームは、今や生活に必要なツールでもあります。だからこそ「やめる/やめない」ではなく、過剰な使い方で生じた問題そのものにどう対応するかが大切になってきます。

こうした考え方に則った場合、回復に向けた最初のステップは以下の3つだそうです。
・本人が夢中になっているネットやゲームを否定せずに、家族との信頼関係をつくっていく。
・ネットやゲームをしなくても、それなりに心地よく過ごせる時間を少しずつ増やしていく。
・食事、睡眠、入浴、着替えなど基本的な生活習慣が乱れている場合は、スモールステップで整えていく。
そして、このような取り組みの中での子どもへの関わり方、家族自身のメンタルケアについても具体的に紹介されます。

感想

今の子どもたちは、年齢に関係なくネットやゲームに触れています。誰にでも依存の可能性があり、あらかじめ予防しておくことはすべてのご家庭で必要だと感じました。
また、もし依存になってしまったとしても、家族にできることはたくさんあり、決して悲観する必要はないという希望も得られました。そして、子どもの依存と付き合っていくうえでは、時には医療機関や自助グループのサポートも借りながら、家族自身が柔軟でポジティブでいることの大切さを学ぶことができました。

私自身、「ゲームを無理やり取りあげるのは間違い」とはよく聞くけれど、「ではどうすればいいんだろう?」と悩んでいました。本書は何をしてはいけないかだけでなく、何をすべきかを具体的に示してくれました。専門家としての知識と実践が詰まっており、子どもだけでなく親の気持ちにも寄り添った内容だと感じます。

コラムも興味深く、中でも「ゲーム依存とプロゲーマーとの違い」は印象に残りました。子どもが「プロゲーマーもいるんだから、自分もゲームしていい」と主張する場面はよくあります。このコラムでは、プロは収入を得るためのトレーニングとしてゲームをプレイし、規則正しい生活を送りながら活動していることが紹介されています。こうした情報は、子どもと冷静に話す材料のひとつになると思いました。

さいごに

ネットやゲームへの依存は、どのご家庭にも起こり得る問題です。お子さんも、そして保護者さん自身も互いに健康に過ごせるように、依存に関する知識を身につけてみてはいかがでしょうか。本書はとても読みやすいです。少しでも気になった方は、ぜひ手に取ってみてください。

参考文献:森山沙耶「子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド」, Gakken, 2023